イズモテンブログVOL.36「猛烈に読書の秋」
2019.09.26
出雲店の山形です。
すっかり秋めいてきましたねー。薄着で寝ていたもんですから、早速喉をやられてしまいました。か弱いですねー。あと、花粉かなんか飛んでます?くしゃみが止まりません。
さて、秋です。
なにかにつけて「〇〇の秋」と発したい季節ですね。
あれってなぜ秋になると気持ちが強くなるんでしょう。
入学の春!
出会いの春!
桜の春!
サワラは春!
甲子園の夏!
バーベキューの夏!
細田守は夏!
おでんの冬!
こたつの冬!
サンタさんの冬!
ブリが美味しい冬!
なるほど、確かにしっくりこないですね。
やっぱり〇〇は秋に限ります。
スポーツの秋
読書の秋
芸術の秋
食欲の秋
他の季節に比べると、貫禄ありますねー。重みが違います。
四天王って感じです。
さて、営業マンたるもの、モノの魅力を伝えることができないといけませんね。
今回は、
読書の秋
ということで、本をいくつか紹介していきましょう。
本が苦手な方に人生で何度本を勧めてきたでしょう。今回は苦手な方、文字は受け付けません、という方にも伝わるように心がけて紹介していきます。
今回紹介するのは、5冊。
いずれも伊坂幸太郎さんの本です。
無類の伊坂幸太郎好きの私が、その魅力を伝えていきますよ。
まずそもそもに、、、、
伊坂幸太郎が描く作品の魅力とは何か。
2つです。
1.登場人物
まずこれですね。
顔はなくても想像できる、色の濃い登場人物たち。映像はなくても浮かび上がる、個性豊かな登場人物たち。
「漫画なら読めるけど、小説はちょっと…」
という方によくお会いしますが、心配ご無用です。
個性豊かな登場人物についていくだけで、勝手に物語に入り込めます。
泥棒、殺し屋、死神、カカシなどなど、作品によっては現実離れした超個性派の登場人物もいれば、その辺にいそうな一般人まで、数多くの魅力的な人物が登場します。
このキャラクターたちの会話のテンポがいいんです。
ですから、説明文といったものも他の小説と比較すると少なく、さらさらさらっと読み進めることができます。
また、会話も小説特有の堅苦しさはなく、普段私たちが会話している言葉と何ら違いはありませんので、癖なく読めますよ。
言葉遊びも秀逸で、ストーリーそっちのけで、言葉遊びや会話のユーモアを楽しめるのも伊坂幸太郎小説ならではの魅力です。
2.伏線回収
伊坂幸太郎の代名詞、伏線回収。大なり小なりなんでも回収します。
どこにあるのかわからない、張り巡らされた伏線。
そして終盤での怒涛の回収劇は、圧巻そのものです。
本を買う時、
映画を観る時、騙された経験はありませんか?
「絶対に騙される!」
「驚愕のラスト!」
「全米が泣いた!」
「アカデミー賞総なめの今世紀最高作!!!」
伊坂幸太郎はその心配がありません。
作品によっては、「どんでん返し」というわけではないのですが、どの作品の伏線回収も綺麗で素晴らしく、それでいてストーリーも面白い。
伊坂幸太郎作品を語る上で欠かせない重要な要素です。
出てくる人物が魅力的で、物語も面白い。
読めない理由が見当たりません。
さて、そんなことを踏まえて、個人的にオススメしたい作品5選。
1.ラッシュライフ(2002年)
「伏線回収」を楽しみたい方にオススメしたいエントリー作品です。
そして、初めて伊坂幸太郎作品を読む方にオススメしたい一作です。
デビューして間もない頃の作品ではありますが、展開の仕方、物語の閉じ方、とても緻密で丁寧な作品です。
5つの話によって構成されていますが、一見つながりがないように見えて、後半パズルのようにばらばらだったピースが一気につながっていく感じは、、、
正直たまらないですね。
トヨタ車でいうところの「プリウス」といったところでしょうか。完成度高めです。
また、伊坂幸太郎作品には、別の話に同じ登場人物が・・・ということが度々あるのですが、
読者の間で圧倒的な支持のある「黒澤」という登場人物が出ている作品でもあります。職業は泥棒です。
2.オー!ファーザー(2010年)
伊坂作品には現実味のない話がときどきありますが、この話も一風変わった作品です。
主人公の由紀夫は高校生で、6人家族。
構成は、主人公、母親、父親、父親、父親、父親です。
そう、一家に父親が4人。
体育教師、ギャンブラー、大学教授、遊び人、と個性豊かな父親が4人登場します。
この一家がとある事件に巻き込まれ・・・といった話なのですが、
ぱっぱらぱーな設定と裏腹に、物語の構成はしっかりとしていて、エンターテイメント性高めの作品です。
トヨタ車でいうところの「シエンタ」といった作品でしょうか。遊び心に溢れています。
3.死神の精度(2008年)
主人公は、死神です。名を、「千葉」といいます。
この物語は、会話がとにかく面白い。
人間の心を持たない死神「千葉」と人間との会話のやり取りが愉快で痛快です。
伊坂幸太郎の「言葉遊び」「言葉選び」の秀逸さを詰め込んだ作品です。
死神が出てくる作品ですので、もちろん登場人物が死ぬシーンもありますが、ご心配なく。
一見暗いテーマの作品のように見えますが、クスリと笑えるシーンも多く、また、ほっこりすることもできます。
トヨタ車でいうところの、なんなのでしょうか。ぱっと、「ハリアー」が思い浮かびました。
4.アイネクライネナハトムジーク(2014年)
ほっこりしたい方にオススメの一作。個人的には女性にオススメしたい作品ですね。伊坂幸太郎には珍しい恋愛短編(?)小説です。優しい作品です。
短編(?)集になっていますので、読みやすいですし、また、伏線回収もしっかりかましてきます。登場人物が多いので、一気読みをお勧めします。
映画化されましたが、伊坂幸太郎作品に関しては基本原則、小説を特に強くオススメしています。
さて、次が最後の作品です。
5.ゴールデンスランバー(2007年)
2008年本屋大賞受賞作品です。
本屋大賞の歴史は浅く、まだ16年です。文字通り、本屋の書店員が「おもしろい!」と思った作品を選びます。
文学者や作家が選出する芥川賞や直木賞と比較すると、エンターテイメント性が高く、本が苦手な方でも読みやすい作品が多くあるのが特徴です。
そんな本屋大賞ですが、ノミネートされた10作品が投票によって点数化されます。
16年の歴史の中で500点越えの作品はわずか3作品。
そのうちのひとつが、
われらが伊坂幸太郎、
ゴールデンスランバー
です。
(また、伊坂幸太郎さんは過去16回のうち、11度ノミネートされており(2位は5作品)、最多ノミネート数の記録も持っています。)
間違いなく、面白いと自信を持ってオススメできる作品です。
小説を読み慣れていない方は冒頭100ページ手前でダウンしてしまうかもしれませんので、何か他の作品を2、3作品読み終えてから手に取ってみてください。
あらすじだけざっと紹介。
総理大臣がパレードの最中に爆殺されます。
その犯人が「青柳雅春」であるという報道が。
突然濡れ衣を着せられた主人公、青柳雅春が逃げる。逃げる。逃げる。そんな話です。
600ページを超える大作ですが、とにかく逃げて逃げて逃げまくります。
第5部「事件から3ヶ月後」
これがすごい。圧巻の伏線回収。怒涛の5連続。
「あ、くるぞ。伏線回収くるぞ。」とわかっていても鳥肌が止まりません。初めて読んだとき、本当に鳥肌がゾワワと立ち、しばらく収まりませんでした。
伊坂幸太郎の代表作品でもあります。
ファンであるがゆえに、もっとコアな作品を推したい気持ちもありますが、なんだかんだいってゴールデンスランバーはすごいです。
映画も数年前にやりました。
堺雅人さんと香川照之さんが出ています。
映画で観ても面白いのですが、やっぱり小説の方が何倍もこの作品は面白い。
ぜひ、本で読んでみてください。
トヨタ車でいうところのなんでしょう。セルシオでしょうか。
だいぶん長くなってしまいました。
伊坂幸太郎作品は全て読んでいますので、もし他に読んでみたい作品、気になる作品があれば出雲店の山形までお問い合わせください。
以上、山形がお送りしました。
出雲店 山形